季節の一枚

特別編


上野駅
上野駅 《平成30年1月上旬》
先月に続いて今月も、結局は元旦の一念発起での半日撮影だけに終わってしまいました。 よって今月も特別編として、過去のこの季節の作品からのご紹介。
選んだ作品は去年の撮影。 D850入手後最初の遠征で、関東方面へ出掛けた折の夕暮れ、黎明の空に浮かぶ上野駅です。
ほんの一昔前迄は、全国の主要都市の駅は皆こんな感じだった記憶なのですが、知らず知らず時は移ろい、今や刻一刻と珍しい部類の建築になりつつある存在です。
戦前から戦後・高度経済成長期頃迄の鉄筋コンクリート構造は、正に“昭和の駅”。 バルター・グロピウスのバウハウスやミース・ファン・デア・ローエ、ル・コルビュジエ等が提唱した機能重視の流れを汲んだ直線基調の外観は、ある意味派手さは皆無。 故に、木造駅舎や東京駅の様な個性的な存在並みの注目度も今は無い。 けれども、これが“街の駅”と言う感覚が子供時分に染みついたせいか、“あの頃”への哀愁漂う、個人的には気になる存在なのであります。
上野駅はその代表的存在でもあり、歴史的価値もそれなりに評価されてか、全国各地“あの頃”の雰囲気の広告看板等装飾も皆無で、実に美しい状態で保たれている、日本にしては稀な駅舎建築。 普段の太陽光の下では今一つ絵的魅力に乏しい外観も、照明が灯れば大変身。 作品では、夕闇迫る群青の空を背景に、浮かび上がった駅表示と室内外の照明が彩る山吹色の、二つの色彩のみで構成された画面が、装飾を排除し直線で構築された線と相まって、その魅力を引き出せたお気に入りの一枚になりました。


この作品の詳細な撮影情報等をお知りになりたい方は、こちらからご連絡ください。

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